歯髄が感染をおこすと、炎症が歯を支えている歯槽骨にまで及ぶ場合があります。この様な場合、かつては歯を抜くしか手がないと言われてきたわけですが、今では外科的歯内療法によってご自分の歯を残せる可能性があります。またすでにクラウンなどが被せられている歯に痛みが生じてしまった場合、外科的歯内療法ならせっかく作ったクラウンをはずさずに歯の根の処置を行うことができます。
通常の歯内療法については、全ての歯科医師が大学で教育を受けています。しかし、外科的歯内療法を行うには、大学卒業後専門施設でさらに数年間のトレーニングが必要となってきます。
院長は歯内療法専門医として、大学および米国で最新の歯科治療学を学び、外科的歯内療法についても各地で講演を行っています。また当院では、外科的歯内療法の際にも実体顕微鏡を使用し、治療の精度を高めています(Microsurgery)。通常60-70%といわれる外科的歯内療法の成功率は、顕微鏡を使用することで95%以上に高まります。Microsurgeryでは専用の極薄のメス、極細の針や糸を使用して繊細な外科処置を行いますので、治りが早く、痛みも少なくてすみます。カミソリと包丁の傷を比べて、カミソリの傷の方が治りが早いのと同じ理屈です。
では実際の外科的歯内療法にはどのような処置なのでしょう。
様々な術式がありますが、最も一般的なのは根尖切除術です。
歯根の尖端(根尖)周囲の歯槽骨に炎症が起こっている場合、この術式を選択します。
1:患歯付近の歯肉を切開。
2:歯肉の下の歯槽骨を露出して、炎症や感染の生じている組織を除去します。
3:同時に、歯根の尖端(根尖)も一緒に除去し、根尖切断面に露出した根管を完全に封鎖します。
4:歯肉を縫合します。
5:炎症や感染の生じていた根尖の周囲は数ヶ月でキレイに骨に覆われて治癒に至ります。
外科的・・・と聞くと、痛い治療では、と心配になる方も多いのではないかと思います。術中は局所麻酔を十分行いますので痛みは感じません。もちろん、術後は若干の痛みや腫れを感じるかもしれません。これは外科処置である以上、ある程度避けられませんが、この違和感を和らげるよう適切な薬を処方致します。術後は通常、ほとんどの方がすぐお一人でお帰りになれますし、翌日には通常の仕事をされています。当院で処置を受けた感想は、「心配していたより全然楽で、ほとんど痛みも腫れもなかった」という方がほとんどです。